普段保育をしている中で
この子のここが課題かな
この子のここが気になるな
等、その子のマイナス面が目立ってしまうことが結構あるかと思います。
クラスに入っていると、確かに気になる子は存在するし、明らかに幼さの目立つ子もいるのは事実です。
クラスを見ても
今年の〇〇組さんは落ち着かない
〇〇組は大人しい
と言われる事もあります。
しかし残念ながら、そういうことを話し合っている時、あまりその子やクラスのの良いところを褒める会話は聞こえてきません。
▲君はすぐなかなか集団の中に入って来れないよね。入ってもすぐトラブルになるし。
と誰かがいうと、大抵
そうなんですよね、幼いところがありますよね。一人で遊んでる事が多いですよね?
というような会話になる事が多い。
でも▲君、お片付けの時は誰よりも頑張っているし、歌やダンスになるととってもイキイキして、いい顔しますよね!
とその▲君の良いところを話してくれる先生は少ないような気がします。
誰でも(大人だって)良いところばかりな人はいないし、悪いところばかりではないですよね。
「この子のここが気になる、伸ばしてあげたい。」と思った時、少し違った視点から見てみる事も大切だと思います。
大人だって、「あなたのここ、ダメよね」って言われるより、「あなたのこう言うところ、素敵だよね」って言われる方が嬉しいですよね。
子ども達との関わりの中で「この子のこういうところ気になるな。」ということは結構すぐに気づく事は出来ます。
でも、「気になるところ」に目が行き過ぎて、その子の「特別魅力的なところ」が埋もれてしまっている事もあるのではないかなと思ってしまうのです。
私が仕事をしている上で、大切にして行きたいなと感じることは「その子の魅力に目を向ける」ということ。
例えば、いつも落ち着きがなくてふざけてばかりいる子。
こういうタイプの子はどうしても個別に声をかけられたり、叱られてしまったりする事も多くなりがちです。
そして、ふざけてしまうタイプの子に、周りの子ども達もつられてしまう事も多いです。
そうなるとやっぱり1年目の先生はそのふざけた子に対して注意をしてしまったり、全体に向けて大きな声で注意をするものの、なかなか収集がつかない状態になる・・・。という場面を多く見てきました。
正直、「どう関わっていいのかわからない」となる事が多いかもしれません。
先に言いますが、関わり方は沢山あります。毎回同じ関わりが通用する事もあり得ません。
でも、いろんな関わり方を模索していくことは大切です。
事例 1歳児 男子 忍者やヒーローモノが好き。
戦いのポーズをとったり、体を動かす事が好きでなかなか朝の会の集まりに参加しようとしない。
周りの子も巻き込んで楽しくなってしまうため、子ども達が落ち着くまでに時間がかかってしまう。
まず、「一歳児なのに、朝の会とかするの?」「子どもだけで集まって座るの?」と思った方もいるかもしれませんね。
大人が想像する「朝の会」とはちょっと違うかもしれませんが、朝の会、やりますし、子どもだけで集まって座ります。
そして、最初はできなくてもできるようになっていくのです!本当、子どもってすごいな!!
で、話は戻ります。
上記に書いた例の子ですが、やっぱり集まりには参加しようとしませんでした。
先に座っている子を主人公にしてしまうと、集まりに参加していない子は「困ったさん」になってしまうかもしれませんが、ある日私はその子を主人公にしてみようと思いました。
だって、その子には「周りの子を巻き込む力がある」から!
簡単な保育の流れは「おもちゃの片付け」→「壁際に集まって座る」→「絵本を見る」でした。
おもちゃの片付けが終わると、壁際に座る事が身についている子は定位置に向かおうとします。
その日は子ども達が片付けを終えたと同時くらいのタイミングで、その子の好きな忍者に変身するように声をかけました。
するといつもは「きゃー!」と走り回っていた子が、誰よりも忍者になりきって、壁際へそろりそろりと歩いてくるではありませんか。
もう、たまらなく愛おしくなりました。
その子を見た周りの子も忍者になりきって、ゆっくりゆっくり歩いてきて、壁際へきて座りました。
「忍者」と聞いて大人やその子と同じイメージできた子は少なかったと思います。でも忍者になりきっているその子のおかげで、何となく真似っこができたのだと思っています。
その子も座る前に、自分の好きな忍者になれたという満足感を得る事ができたから、スムーズに気持ちを切り替える事ができたのかもしれません。
日常のほんの一コマ、一瞬の出来事なのですが、子ども達が楽しめる瞬間をその子が作ってくれたように思いました。
勿論、毎日忍者になって座り続けるわけにはいかないでしょうし、初めてのことだったから、子ども達がノッてきた。というのもあるかもしれません。
でも、何よりもその子が自分から座る事ができた。しかもみんなを忍者にして!
そこがとてもすごい事だと思います。たくさん褒めて、自信につなげていきたいところです。
見方によっては「周りを巻き込む」ことは短所として映ってしまいがちですが、その見方を変えれば、本当にステキな長所なのです。
その子の「気になるところ」が実は「その子の魅力」になるかもしれません。
そういった子ども達の良さや個性を引き出して伸ばしていく事が出来る保育士になりたい。と、私はいつも思っています。
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